こじらせた男同士はこうも…
上司・比良子(ひらこ)の冗談から始まった比良子と吹上(ふきがみ)の曖昧な関係。しかし3年経っても自分に指1本触れてこない比良子の態度に傷ついた吹上が別れを告げた途端、キレた比良子によって犯されてしまう。その日から比良子の一方的な行為による2人の体の関係が始まった――。(renta!より)
ほぼ共感できない関係が一転して…
猫田リコ先生 「目と目が合ったらサヨウナラ」です。
最後までタイトルの関連性がわかりませんでしたが、多分、2人の矛盾してこじれた関係性を表現しているのかな?と推測してみました。
猫田先生の作品を読むのは「恋に落ちるわきゃないし」に続き2作目。独特のさらっとした空気感がありますね。今回の「目と目が合ったらサヨウナラ」も、結構汁気の多い作品のわりに全体の空気はドライ(…って何の話でしょうね)。 とまぁ、そんな雰囲気です。
目と目が合ったらサヨウナラ (バンブーコミックス 麗人セレクション)
** ネタバレご注意ください**
ちょっとした上司の冗談が3年も…
吹上(新入社員・受・ゲイ)×比良子(上司・攻・ノンケ)
比良子はちょっとガサツだけど面倒見が良く、部下にも慕われるタイプのいい上司…のはず。
一方吹上は、ちょっとひねくれていて、表現が下手だけど、実は一途で健気な子…多分
そんな二人が、比良子の冗談で関係をこじらせてしまって3年 というのがこのお話。
冗談で吹上を傷つけたことを悔い、何かと気を遣って接してきた比良子に対し、吹上の態度はそっけないそのもの。実は吹上は比良子に対し好意を抱いているものの、素直になるタイミングを逃してしまったため、憎まれ口や冷淡な態度しか取れないでいる。
とうとう3年間指一本触れられなかったことに傷ついた吹上は、比良子をあきらめようと別れ話を切り出したが、その態度に切れた比良子が取った行動とは…
会社の行く末が心配になるほどの「残業」
切れた攻がとにかく受を犯します。しかも残業時間に!会社で!毎日!
この会社本当に大丈夫なの?と心配になるほどです。
「比良子の上司はもっと勤怠管理すべき!」といらない心配が頭をよぎってころりもなんだか二人の残業に集中できません。
吹上は、乱暴にされていても好きな相手とつながっていられるってことだけで、実は嬉しかったりするのですが、そこはひねくれたこじらせ男。それを悟られまいと、嫌がったりわざと憎まれ口をきいたりして嫌われよう、あきらめようとします…なんて面倒くさい男なんでしょう。
こじらせ男たちの痛々しさ
とにかく、二人ともすごくこじらせていて、見ていて痛い。切ないとかじゃなく、痛々しいんです。
好きの気持ちがすれ違ったり、わざと嫌われようとしたり、力ずくで犯したり、そのくせ相手の怪我を心配したり、その心配をわざとはぐらかしたり。
読んでいて痛くてたまりません。
怒った比良子は冷たい目をして力ずくで吹上を従わせます。好きな人からあんな扱いをされたら普通は悲しいと思うんですよね。前半のエロシーンは攻が怒ってます。受が内心よろこんでいるとはいえ、そういう部分がひっかかって、作者様がもっとも力を注がれたであろうエロシーンをなかなかエロく感じられない。あくまでころりの場合ですが。
エロシーン多め
とにかくエロシーンは多いです。
あとがきで作者様も書かれていた通り、エロ多目。3分の1はイタしてます。
最終的には愛のあるあまーいエッチもちゃんとあります。不器用ながら、自分の気持ちを少しずつ表現しようとする2人はほほえましく、比良子の男前ぶりには胸を打たれました。イイやつです!(キレる前はそもそもいい人でしたしね)
また、後半は吹上もちょっと屈折したかわいい子猫ちゃんぶりをいかんなく発揮します。
お互いに気持ちが通じ合った後は、あまりにも2人してデレていて、最初なんであそこまでこじれたのか…がむしろ不明なほど。そこがちょっともやもやします。
吹上は相当面倒くさそうなので、比良子は今後も苦労しそうですね。