鹿のエロ、愛に胸キュン涙する。
奈良最高位・久鹿家の跡取り鹿の白羽と、拾われ子で人間の草介は幼馴染で腐れ縁。
皆に慕われ愛されている白羽は、使用人の子でしかない草介に、いつも全身で好きだと伝えてくる。
高貴で秀麗な白羽に尽くされて優越感を覚えつつも、白羽の想いには気づかないフリで一線は越えない間柄だった。……はずなのに! 発情期の白羽が我慢の限界を超えて草介に襲いかかってしまった!!
それ以来、ギリギリ友人としての均衡を保っていた2人の関係が崩れ、草介は貞操の危機!?
表紙の雰囲気と「跡取り鹿」ってどういうこと?と買ってみたらものすごくよかった!泣きました~
ちちゃの実先生 まほろばデイズです。
奈良のお話だと思ったんですが、「奈良まほろば」っていう架空の町が舞台。
近鉄奈良駅なども出てきて、ほぼ奈良な雰囲気の町ですが、鹿が治めているって設定です。
ちしゃの実先生の作品は未読だと思っていたら、実は「片恋家族」を読んでいたことを思い出しまして。
あの作品は受の子が女の子みたいだったので、わりとさらっと流しちゃってたんですね。
だから、今回の受けはちゃんと男の子だったらいいなーと思いながら読んだわけです。
** ネタバレご注意ください**
雄鹿攻め×ひねくれ鹿せんべい職人見習い受け
いやー、よかったです。
雄鹿攻めがっ!
思いのほかセクシーでよかったのです。そして、鹿だけどワンコ。
人外ものには若干萌えにくい体質の私ですが、この雄鹿はよかった。
頭にマグマ大使みたいな角、生えてるんですけどね。(マグマ大使をご存じないお若い方はこちらへ)
これは年に1回、角を切り落としているからですね。伸びると立派な角になります。
で、この鹿が、「一途」「健気」「男気」そしてドMでヘタレでかわいいけどスイッチ入るとエロく強引になるというナイスな白鹿でした。
一方受けは人間。しっかり男の子でした!
こっちは自分でも「精神が複雑骨折」というぐらいのひねくれもの。
ニッコリ笑顔で観光客に道案内しながら、心では「滅びろ!」とか思ってて(笑)
外面の愛想よさと、素直に愛を受け入れられない中2な内面をあわせ持ってます。
結構こじらせてますが、素直じゃない所も『あ~、若いな~』って感じでかわいいんです。
そしてなんといっても、泣き顔が超絶かわいい!
最初に攻めが襲いかかったとき、ちょっと泣いちゃって…思わず心の中で『もっと泣かして!』って念じた…。
そんな2人の幼馴染胸キュンラブラブストーリーかと思えば、実は途中に結構重いエピソードがあって
実は泣ける話に仕上がってました。
「奈良まほろば」を舞台に鹿の一途愛
さてこのお話、古都・奈良にソックリの「奈良まほろば」が舞台の和風ファンタジーです。
神様にお仕えする神鹿が支配する町って設定で、人間よりも鹿のほうが偉いという。
だから人間が鹿の使用人だったりするんですね。
その奈良まほろばに捨てられていた幼い受・草介は、神鹿最高位の久鹿家当主(攻・白羽の父)に拾われ、その使用人(人間)夫婦に引き取られることに。
本家の攻めとは幼馴染ってことになるんですが、本家跡取りと使用人の子という、身分違いの関係ではある。
そんな2人ですが、子供の頃から草介がとにかく毒舌で。
「俺は敬わないぞ 俺を拾ったのはお前の父さんだ」
「お前はただの子供だ」
とか。子供なのに(子供だから?)白羽を甘やかさない。
ちやほやしかされていない白羽は、ストレートに酷いことを言う(つまり特別扱いしない)草介が気になって気になって…。
酷いこと言われて嫌なんだけど、どうしてもそんな草介に受け入れられたくなっちゃって、追い掛け回してしまうんですね。
多分ここが攻めの一途愛…というかドM開眼というか。執着の原点ですね!
何回か子供時代の回想が出てくるんですが、これがどっちもかわいくてー。
そんなある日、草介は額に大きな傷を負う事故に遭い、また、ちょうど同じ頃に白羽は霊力を失ってしまう…。
それから10年、成長した2人はそれぞれ神鹿とせんべい職人になり、お互いに秘密や複雑な思いを隠したままギリギリ友達の関係を保ち続けていたが…ある日白羽の発情期に危うく一線を越えそうになったところから関係が崩れ始めて…というお話です。
鹿のエロス
この白鹿攻め・白羽のスイッチがわかりやすくドMなのがかわいらしすぎる。
「この無能白ピーマン」
の罵りからの
「お前を孕ませたい」
ガバーッ(押し倒し)が、もうなんだか獣っぽくて!
普段ヘタレなのに、スイッチ入ったらさすがの獣感。萌える萌える~
結局この発情期の一件は、すんでのところで攻めが我に帰って未遂に終わるんですが。
ここからちょっと攻めが「そういう目」を隠さなくなってくるんですよね。
白羽が跪いて、ベンチに座る草介の手から鹿せんべいを食べるシーンがあるんですが(鹿ですからね)、まぁこれが
鹿のエサやりがこんなにエロいとは!
で、鹿せんべい食べ終わって、そのあと指を舐め始めるんですよ。上目遣いで!
鹿の指舐めがこんなにエロいとは!
これは新発見。もうこれで奈良の鹿見ても心拍数上がっちゃうョ…
草介は白羽から「そういう目」を向けられるのにものすごく優越感を抱いていて、この関係を壊さないように、ギリギリの友達関係をキープしようとしているんですね。
そんな草介の小狡さもいやらしくて好きです。
で、あと、鹿様のアレが巨大でしたので、草介の身体がものすごく心配でした。
ちなみに修正はシャカシャカ線で消すタイプのやつです。
周りの人の深い愛。隠された秘密に泣ける…
発情期事件以来、2人の関係が揺れ動いている間に、隠された10年前の秘密が明らかになってくるんですが、
この秘密が…まぁ泣ける話で。
10年前の鹿父子のやりとりに、白羽の懇願に、久しぶりにBLで泣きました。(といってもちょくちょく泣いてますが)
鹿の愛、草介の家族の愛、神霊達の愛、周りをとりまく人・人外達の愛で、2人の人生が守られているのが本当に胸に響いてきます。
物語は受け目線で、終始心のなかでの葛藤があり、丁寧に心理描写されているので、無茶な設定ですがしっかり入り込めます。
あと、草介の家族愛がはんぱなく重く(笑)、甘えすぎる無邪気にエロい義弟とのシーンも萌えました。
(作者様は近親ものがお好きなのかな?)
前作ではコマが小さくて若干読みにくい印象があったのですが、こちらは緩急つけたコマ割で、とてもテンポ良く読みやすかったですね。
背景の町並みや神社も美しく、神霊や一般の鹿たちもかわいい。ちょっとコミカルなシーンもあり、エロ・胸キュン・泣きと充実の内容で読後感はものすごく幸せな一冊でした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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